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スズキの新型「 SV650 ABS」を筑波サーキット1000でテストライドした。雨上がりのウェッティなコンディションのなか気構えることなくイージーライドができ、軽快なハンドリングとアクセルワークに従順な扱いやすいエンジンが好印象。ワインディングで乗ってもさぞかし楽しいだろうと、期待せずにはいられないスポーティなライドフィールは、Vツインライトウェイトスポーツの魅力を改めて知るキッカケとなった。


「これは気持ちがいい! バイクを意のままに扱える楽しさがある!!」
開発を担当したチーフエンジニア・安井信博氏にそう伝えると、開発から発売に至るまでの経緯を教えてくれた。


「バイク本来の楽しさを伝えようと、バイクの原点に戻ろうという原点回帰を考えたところ、幸運にも我々は650ccのV型2気筒という素晴らしいパワーユニットを持っていました。このエンジンは1999年の初期型SV650の発売から約17年間、全世界で約41万台生産したという実績があり、我々にとってはとても信頼のできるエンジンで、長所も弱点も知り尽くしています。このVツインエンジンの長所をいかすことで、バイクに乗る楽しさ、ワクワク感を多くの人に伝えたい。そう考え、今回の開発・発売に至ったのです」

メインターゲットとなる市場はヨーロッパとなるが、スズキはグローバルモデルとして北米、大洋州、そしてアジア諸国での販売をすでに開始している。もともと北米や欧州では人気のあるミドルクラスだが、日本においてもここ数年の市場の成熟によって欧州の志向に近くなっているとスズキは考えており、SV650 ABSの国内販売を開始している。


その心臓部となる水冷DOHC645cc 90度Vツインは、3つの開発テーマが掲げられ、完成に至った。欧州の新排ガス規制に対応すること、そして出力の向上、3つ目は燃費性能の向上だ。これらは相反する要件だったが、達成に至っては次のテクノロジーが大きな働きをみせた。

まずは「樹脂コート+スズめっきピストン」。樹脂コートピストンは四輪でもフリクション低減のために用いられるが、SV650 ABSではスズめっきを追加している。さらにピストンリングをL型とすることで、さらなるフリクション低減を果たせ、高い密閉性によるブローバイガス低減も両立した。

そして「デュアルスパークテクノロジー」も忘れてはならない。これは1気筒あたり2本のスパークプラグを持つ燃焼室形状とするものだが、Vツインエンジンはシリンダーヘッドが独立しているので、無理のないツインプラグへのレイアウトが可能となる。特に低回転域での燃焼が不安定な領域で効果を高く発揮するので、燃費の向上に直接的な効果があるだけでなく、常に混合気を効率よく燃焼するため、リニアなスロットルレスポンスを獲得。このデュアルスパークテクノロジーは、先代となるグラディウス650でも採用されてきたが、高価なイリジウムプラグを改め、高着火ニッケルプラグを新たに導入。同じ性能を持ちながらより安価であり、ユーザーのメンテナンスコストを下げるという目標を達成している。


また、メッキシリンダーは今となっては常識的な技術だが、ピストンとのクリアランスを詰めることができるので、グローバイガスの低減をはじめ、ピストンリングの低張力化などフリクション低減には重要な働きを果たした。このようにエンジン全体で、新型SV650 ABSでは60点以上のパーツを見直すことに至っている。
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【試乗記】これぞライトウェイトスポーツの真骨頂!「スズキ SV650 ABS」:青木タカオ originally appeared on Autoblog Japan on Fri, 23 Sep 2016 04:00:00 EST. Please see our terms for use of feeds.
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