Filed under: 試乗記, スポーツ/GT, メルセデス・ベンツ, レーシング, ニューモデル, ドイツ

メルセデス・ベンツのモデルをベースとしない、AMGの自社開発スポーツカー第二弾としてデビューしたAMG GTが、じわじわとラインナップを拡大中だ。この度、登場したのはメルセデスAMG GT R。昨秋、ワールドプレミアされたロードスターから一転、サーキットでのパフォーマンスに特化した硬派なモデルである。


何しろAMG GTのレーシングバージョンであるAMG GT3は今、世界のサーキットで大活躍中だ。とりわけ強烈だったのは昨年のニュルブルクリンク24時間レースでの、1-4位独占である。もっとも日本のスーパーGTでは、車両規定の不利もあって振わない状況ではあったのだけれど。ともあれAMG GT Rには、こうして実戦で培われたノウハウがたっぷりと注ぎ込まれているわけだ。


初対面で驚いたのは、そのアピアランスである。見るからに低く、そして強烈にワイド。スペックを確認すると何と全幅は2007mmにも達しているのだ。フェンダーは大幅に拡大されていて、前275/35ZR19、後325/30ZR20という極太サイズのタイヤが収められている。ちなみにAMG GT Sでは前265、後295サイズである。


GT3マシンと同様のAMGパナメリカーナ・グリルをはじめ、大きな開口部をもつフロントエプロン、大型リアスポイラーなども備わり、ルックスは威圧的とすら評せるが、実はこのボディ、見えないところにこそノウハウが詰まっている。
まず空力の面では、必要な時以外は閉じて空気を車体下面に導く、フロント開口部内側のエアパネルや、床下のエンジン前方辺りに設置され、高速域で下方にせり出してヴェンチュリー効果によってダウンフォースを生み出す、アクティブエアロダイナミクスシステムが特徴と言える。


軽量化も進められており、フロントフェンダーやルーフなど目に見える部分だけでなく、車体各部の補強用部材、ドライブシャフト、トランスアクスルのトルクチューブなどがCFRP化されている。これは当然、高剛性化にも貢献するものだ。

そしてV型8気筒4.0Lツインターボエンジンは、主にターボチャージャー周辺の変更により、最高出力をAMG GT Sに対して75ps増の585psにまで高めている。トランスアクスルレイアウトとされた、7速DCTの変速の切れ味を高める、軽量デュアルマスフライホイールの採用も見逃せないところだろう。


シャシーでは、よりハードなスプリング、専用の電子制御ダンパーに加えて最大1.5度の切れ角を持つ後輪操舵機能、そしてESPオフの際に効きを9段階に調節できる、トラクションコントロールの搭載が目をひく。とことん実戦向きなのである。
こうして稼ぎ出されたのは、ニュルブルクリンク北コースで7分10秒9というラップタイム。これは後輪駆動の市販車では最速となる。
Continue reading 【海外試乗記】2018 Mercedes-AMG GT R、サーキットでのパフォーマンスに特化した硬派なモデル。:島下泰久
【海外試乗記】2018 Mercedes-AMG GT R、サーキットでのパフォーマンスに特化した硬派なモデル。:島下泰久 originally appeared on Autoblog Japan on Sun, 15 Jan 2017 03:00:00 EST. Please see our terms for use of feeds.
Permalink | Email this | Comments