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【海外試乗記】Alfa Romeo GIULIA、アルファ・ロメオは見事なハットトリックを決めた:山田弘樹

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GIULIA
 159の生産終了から久しく途絶えていた、アルファ・ロメオのDセグメントセダンが遂に復活を果たした。その名は"ジュリア"。既に往年のネームとしてはジュリエッタが登場しているものの、戦後アルファ・ロメオにおける最高傑作の名をもって、その新たなスタートを宣言したことになる。ちなみに現在のアルファ・ロメオは、年間約4万台規模のブランドにまで規模を縮小してしまっているのだ。

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 想定しているライバルは、BMWで言えば3シリーズ、メルセデスで言えばCクラス。果たしてジュリアはそれらと十分以上に比肩しうる、オリジナリティ溢れるイタリアン・スポーティセダンに仕上がっていた。

Alfa Romeo GIULIA Alfa Romeo GIULIA
 今回試乗したのは3モデル。ガソリンエンジンは200psを発揮する2リッターの直列4気筒ターボと、510psを発揮する2.9リッターV6ツインターボの2種類。ディーゼルエンジンはアルファ自身が2.2リッターと呼ぶ2143ccの直列4気筒ターボで、本国には150psと180psの2仕様が存在するが、我々は日本に導入予定である180ps仕様でテストドライブした。
 ディーゼルおよびガソリンの直列4気筒はグレード的に言うとスタンダードなモデルにあたり、FCAジャパンが導入するのは内装のトリムをグレードアップした「スーパー」となる。そう、日本モデルは往年のセダンと同じ「ジュリア・スーパー」を名乗るのだ。

Alfa Romeo GIULIA
 そしてV6ツインターボには「クワドリフォリオ」の名称が与えられる。これはイタリア語で四つ葉のクローバーを意味する言葉であり、アルファ・ロメオが1923年のタルガ・フローリオで初優勝を飾ったときに付けられた"縁起物"。以降アルファのレーシングモデルにはこの四つ葉のクローバーが付けられるようになり、市販モデルにおいても高性能バージョンのグレード名となった。

Alfa Romeo GIULIA Alfa Romeo GIULIA
 さて誰もが真っ先に知りたいのは、そんな「クワドリフォリオ」の走りと性能だろう。
 これをテストしたのは、アルファ・ロメオのテストコースであるバロッコ・プルービンググラウンド。不特定多数のジャーナリストに乗り倒されることを想定してだろう、ストレートにはいくつかのシケインが設置されていたが、それでも十分以上にその魅力を堪能することができた。
 クワドリフォリオ最大の特徴はフェラーリが開発に携わったといわれるV6ユニットで、その2891ccという排気量から察するに、どうやらこれは「カリフォルニアT」のV8ユニットをモジュラー使用したものらしい。

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 トランスミッションは6MTとトルコン式の8速ATがあり、ディファレンシャルには左右のトルクを電子制御で配分するクラッチ式のLSDまでもが組み込まれている。

Alfa Romeo GIULIA
 シャシーはアルミとカーボンを随所に盛り込んだ。たとえばそのプロペラシャフトはカーボン製で、エンジンユニット、サスペンションシステム、ドア、ボンネットはアルミ製となっている。クワドリフォリオはそこからさらにルーフ及びボンネット、前後スポイラー、サイドスカートをカーボン製とし、このクラスで1524kgを達成した。ライバルのM3が6速MTでも1610kgだと聞けば、アルファの気合いがわかるだろう。

Alfa Romeo GIULIA Alfa Romeo GIULIA
 そんなモンスター・セダンにもかかわらず、当日の貸し出しはとってもイタリア風だった。予約リストをチェックして、「走行は2周。最後の周は必ずブレーキをクーリングしてくれよ」と言われたら即出発。車両の説明など一切されないから、全てこちらで見つけ出してやるしかない。


 小径ステアリングに付けられた、スターターボタンを押すとエンジンが"ガロン!"と吠えた。MiToやジュリエッタから採用されたアルファ「DNA」は「DNA Pro」となり、そのダイヤルを「RACE」モードに回すと、いとも簡単にトラクションコントロール機能がオフになる。短い試乗時間を考えて、当然モードはこれを選んだ。

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 中継ステーションのピットロードを出ると、ストレートが現れたのでアクセル全開。すでにタイヤは暖められており、後輪駆動とは思えないトラクションでクワドリフォリオは怒涛の加速を見せた。
 確かにエンジンの吹け上がりはフェラーリをイメージさせるほど軽やかで、トップエンドの7000rpm+αまで根詰まり感なくきっちりと回りきる。ターボゆえそもそものレブリミットが低いせいもあるが、最大トルク600Nmというスペックから想像するよりも低中速域でのアクセル追従性がスムーズで、そのパワー&トルクをもてあますことなく使い切ることができる。
 これには駆動系の性能も大きく影響しているのだろう。エンジンはアッという間に7000rpm+αのレブリミットまで吹け上がり、"パパパパパッ!"とレブリミッターに当たって次のギアを催促される。ステアリングに備え付けられたパドルの右側を引くと、瞬時にシフトアップ。DCT(デュアルクラッチトランスミッション)よりも強めのショックを伴いながらもその剛性感は高く、トルコンタイプながら高いロック率によって素早いシフト操作が可能だった。
 クワドリフォリオには6MTも用意されているが、単純に考えてもギアの数がふたつ多い分だけ、8速ATの方がひとつひとつのギア比はショート。かつ高速巡航でも、オーバードライブが有効に使える。そしてその鋭い吹け上がりに対しても瞬時に正確な対応が可能なだけに(シフトダウンによるオーバーレブの心配もない!)、両方を試したが筆者はATの方がクワドリフォリオに合っていると感じた。
 MTには確かに日常的な領域でもマシンとの対話感が濃厚に得られ、ヒール&トゥで自ら回転を合わせる楽しみがある。しかし最先端のエンジンユニットや駆動系に対してフィットするのは、やはり最新のトランスミッションだと思う。

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 ともかく、クワドリフォリオは速い! 限定モデルであった8Cを除けば、これは史上最速のストラダーレ(市販モデル)だ。そしてコーナーに入ると、その魅力はさらに倍増した。

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 レースモードによってシャシーコントロール制御が先鋭化した結果(アルファCDC)、電子制御式LSDはトラクション重視に。それゆえタイトコーナーでのプッシュアンダーステアは少し強いが、タイヤのインフォメーションを豊かに伝えてくる。そこからちょっとだけ強引にアクセルを踏み込めば600Nmのトルクが炸裂してオーバーステアを造り出すのだが、ドリフト状態を許しながらもマシンは前に前にと進んでくれる。だからドライバーは、マシンと対話することさえ怠らなければ、510psのモンスターセダンをウソみたいに操ることができるのだ!
 もちろんこれを「D」(ダイナミック)モードにすれば、その制御は後輪のスリップをさらに強く補正してくれるから、段階的にハイパワーFRの運転を学ぶことも可能だろう。

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 そしてこの操縦性が、4速以上のハイスピードコーナーでさらに高まって行くのだからたまらない。ドイツ車のように頑としたボディの剛性こそ感じないものの、軽さと剛性を高い次元でバランスさせたシャシーはサスペンションのロール状況をわかりやすく伝えてくれる。だから積極的にアクセルを踏むことができ、ニュートラスステアを存分に楽しむことができるのだ。簡単にいうと、ヤバイくらい楽しい!

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 このとき多分フロントスポイラーからは、可変式のエアロスプリッターが突きだしてフロントタイヤの接地性を高めているはずだ。またリアは件のLSDが活躍し、なんとしてもタイヤをグリップさせようとしてくれる。

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 残念なのは電動パワーステアリングの軽薄な操舵フィールで、ここだけがAMG C63には及ばない。しかしその軽さはライバルを圧倒しているし、ハイパワー化によってトラクションを失ったM3(やM4)よりも遙かにそのレベルは高い。

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 もし3車を同時にタイムアタックさせたらどれもいい勝負になると思うが、アルファ・ロメオが目指したのはそのハイパワーを使って、ドライバーをどう楽しませるか? なのだと強く感じた。昔から快楽の追求はイタリア人の得意とするところだが、そこに速さが加わったのが、このクワドリフォリオだと言えるだろう。

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 ちょっとベタ褒めもいいところだと自分でも思うが、数年ぶりに放った彼らのシュートに対して、ここは素直に賞賛を送りたい気持ちだ。この後に紹介するガソリンとディーゼルを合わせて、アルファ・ロメオは見事なハットトリックを決めたと筆者は思う。

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【海外試乗記】Alfa Romeo GIULIA、アルファ・ロメオは見事なハットトリックを決めた:山田弘樹 originally appeared on Autoblog Japan on Mon, 25 Jul 2016 04:00:00 EST. Please see our terms for use of feeds.

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